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● O157保菌イエバエ関連演題
| 一般A01:小林睦生、佐々木年則、鈴木健之、斎藤典子、田村和満、渡邊治雄、安居院宣昭:腸管出血性大腸菌O157を摂食感染させたイエバエより排出される菌について |
| 抄 録 |
| 1996年にO157保有イエバエが患者発生施設で確認され、分離された両者の菌のDNAパターンが一致したことからイエバエがO157の機械的伝播者である可能性が示唆された。そこで、イエバエに実験的にO157を摂食感染させ、その後経時的に菌の体内分布と排泄を調べた。その結果、O157が消化管およびそ嚢に3日間ほど保持されること、口唇の微細空間でO157が分裂をする事が明らかとなった。O157摂食イエバエの消化管を透過型電子顕微鏡で観察したところ、菌塊が囲食膜(PM)に包まれている事が確認された。このことは菌を含む液体培地がPMに完全に囲まれた状態で中腸から後腸・肛門へと通過する可能性を示唆している。このように、摂取されたO157が速やかに生きた状態で排出される結果から、摂食後2-3日目に排泄物中に見られた菌は口唇の微細空間およびそ嚢由来と考えられた。これら摂食実験結果を通じて、イエバエがO157の単なる機械的伝播者でないことが強く示唆された。 |
| 一般A02:真田寛子、武間亮香、亀井正治、前田拓也、高麗寛紀:野外より採取した双翅目昆虫からの腸管出血性大腸菌O157の分離同定 |
| 抄 録 |
| 1996年の腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒について、国や地方自治体の関係機関は、原因食品に注目してO157の感染経路や発症機構の解明を求めたが、未だ十分な解決には至っていない。一方、同年10月、佐賀県のO157感染患者発生施設周辺で採取されたイエバエがO157を保有することが確認された。これにより、O157感染症に関する問題は、全国的なレベルでとらえなければならなくなり、早急の調査研究が求められている。 これまでに、イエバエがO157感染を媒介することが明らかにされつつある。本研究はこれを実証的に見定めるために、野外に生息する双翅目昆虫(イエバエ、チョウバエ等)の腸内、糞便中、体表面からO157を分離することを主な目的とし、免疫磁気ビーズ法を用いて実験を進めた。その結果、イエバエ糞便中からO157を分離したので報告する。 |
| 一般A03:石 |
| 抄 録 |
| 平成8、9年度厚生科学研究「O157等新興感染症研究事業」の一環として、ハエ類からO157:H7を中心に下痢原性大腸菌の分離を試みた。ハエは6、7、10および11月に福井県内の6ヶ所の牛舎で延べ16回採集した。採集できたハエの種類と個体数は、イエバエ494個体、ヒメイエバエ65個体、サシバエ66個体およびオオイエバエ2個体であった。そのうち、イエバエ25個体から10種類、およびヒメイエバエ3個体から3種類の大腸菌が分離されたが、O157などベロ毒素産生性の株はなかった。ただ、K牛舎のイエバエ由来(5/140)のO26:HNMとS牛舎のイエバエ由来(3/62)のO63:H6は、腸管病原性大腸菌の病原因子の一つeaeA遺伝子を保有していた。一方、K牛舎内のクマネズミ直腸内容物および牛糞からもeaeA遺伝子保有のO26:HNMが分離でき、その生化学性状、薬剤感受性およびプラスミドプロファイルはイエバエ由来株と一致した。 会員外共同研究者:村田健(福井県衛研) |
| 一般A04:岩佐光啓、牧野壮一、森本 洋:帯広市におけるイエバエからの腸管出血性大腸菌Ol57:H7の分離 |
| 抄 録 |
| 1996年10月に北海道帯広市近郊の幼稚園で起きたO157の集団感染に関連して、1997年の春(6月〜7月)に、帯広市近郊の4箇所の畜舎(2牛舎、1豚舎、1鶏舎)において堆肥上から採集したイエバエ、オオイエバエ、ヒメクロバエなど6属6種200匹のハエから免疫磁気ビーズ法によってO157菌の分離を試みた結果、牛舎での1匹(イエバエ)からO157:H7(VT1(+)、VT2(+))が検出された。また、同年秋(10月)には2箇所の牛舎からイエバエを160匹を採集し、同様の方法で分離を試みた結果、1箇所(80匹)の4匹のイエバエからO157:H7の血清型が検出され、うち2匹はVT1(+)、VT2(+)で、2匹はベロ毒素を有しなかった。春秋あわせて計3匹から分離された毒素型は、帯広での集団発生例の患者からのもの(VT2(+))とは一致しなかったが、北海道でこれまでに集団および散発事例において検出された菌の典型的な性状を示した。あわせて、調査地に比較的近い人家において家屋に侵入するハエ類の種類相と季節消長を調べたので、ハエ類によるO157菌の伝播に関連して報告する。 |
| 一般A05:倉橋 弘、森林敦子、林 利彦、安居院宣昭:1996年に猛威を振った腸管出血性大腸菌EHEC Ol57による集団食中毒にイエバエがかかわっていた可能性 |
| 抄 録 |
| 1996年10月佐賀県内のEHEC O157感染者の出た保育園で採取されたイエバエMusca domestica vicina から患者と同じ血清・毒素型のEHECがはじめて分離された。厚生科学研究費による「ハエ類による腸管出血性大腸菌伝播に関する総合研究」が推進され、15都道府県で調査が実施された。その結果、8地域で採取されたイエバエからEHECが分離された。これらのイエバエの採取された環境は牛舎とその周辺であった。ゴミ処理場やその他の畜舎からのイエバエからは見つかっていない。一方、演者らによる1996年11月以前に見られた食中毒発生施設(集団6ヵ所、個別2ヵ所無作為に選んで)周辺のイエバエ発生環境の有無、施設との距離等の生態・疫学調査を行ったところ、いずれの施設の周辺にもイエバエが飛来可能な距離内にイエバエの発生源である牛の飼育環境が存在した。従って1996年佐賀の事例以前に起こった給食を主とするEHECによる食中毒のいくつかにもイエバエが機械的伝播者として関与した可能性が示唆された。 |
| 記念K03:安居院宣昭:衛生害虫はO157流行にどうかかわっているのか? |
| 抄 録 |
| 平成8年の腸管出血性大腸菌(EHEC)O157による感染者は全国で1万人を超えた。現在でも大規模な集団発生の報告こそないが、散発的感染事例は依然として続いており、O157の感染経路は依然として不明な部分が多い。O157感染と衛生害虫との関わりについては、平成8年10月に佐賀県でO157患者が発生した施設内外から採集されたイエバエからO157が検出されたことに端を発して、感染研、地研、大学の衛生昆虫、細菌学の専門家による総合的な研究(厚生科学研究費による)が実施されている。演者らは昨年4月の衛生動物学会大会特別報告「腸管出血性大腸菌O157を保菌するイエバエの出現とその問題点」で、その研究の経緯等について既に紹介している。当記念講演では、O157とハエに関する総合的研究で今までに得られた研究成果、特に全国規模で実施したO157保有バエの実態調査結果を中心に紹介し、O157の流行に衛生害虫、特にハエ類がどう関わりうるかについて紹介する。 O157保菌バエの発生が特定県における地域的な問題ではなく、全国的に起こりうる問題との位置づけから実施したO157保有バエに関する全国調査は、平成9年の春-夏、夏-秋と2期に渡ってイエバエの発生時期に合わせて実施した。その結果、14道府県調査地区のうち、8地区でO157等の保有バエが確認され、その分布も沖縄、九州、中部、関東、東北、北海道地区と、全国各地に広くその分布を確認した。また、これらのイエバエの採集された環境は牛舎とその周辺であり、屠畜場においてもO157保有バエを確認した。これらのことから家畜生産環境とその流通機構に絡んでO157汚染バエが発生しうる構造的な環境が想定され、このような環境が現存するわが国の状況下では、精度の高い調査の実施により全国どの地区でもO157保有バエ捕獲の可能性が示唆された。さらに、イエバエのO157媒介能を知る基礎実験では、O157を摂取したイエバエはその排泄物や口唇を通して一定期間多数の菌を排出・播種する可能性も示され、イエバエが単なる機械的伝播者でないことも明らかにされた。このようなハエ類とO157の関連性を解き明かすための一連の研究の実施は、我が国における衛生動物学研究におけるエポッ ク・メイキングな事柄と捉えても過言ではなかろう。しかし、O157等の伝播・感染は、リザーバーとしての家畜等、汚染媒体としての食品や運び屋としてのハエ等、そして摂食者としての感染者、その間を繋ぐ線はいまだに実証的な根拠に基づいて結ばれていない。感染経路が依然として明確に解決されていない現状において、ハエ類を中心としてゴキブリ類、その他伝播者として考えうる衛生害虫を網羅した早急、かつ詳細な研究は、O157感染症に関する総合的研究が推進される中で依然として求められている。 |
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